第58回社労士試験は合格率9.3%!合格基準点と救済科目、合格後の流れまで整理しました。
おはようございます。大阪市東淀川区の社労士、井上です。
昨日(10月1日)、第58回(令和8年度)社会保険労務士試験の合格発表がありました。結果は合格者3,961人、合格率9.3%。前年の5.5%から大きく上がり、合格者数は過去10年で最も多くなりました。数字は第58回社会保険労務士試験の合格者発表|厚生労働省で公表されています。
受験された皆さま、本当にお疲れさまでした。合格された皆さま、おめでとうございます!
今回は、厚生労働省の公表資料をもとに、社労士試験の合格率・合格基準点・救済(補正)の中身、合格者の顔ぶれ、そして合格後・惜しくも届かなかった方の次の一歩を整理しました。
この記事で分かること
1. 結果概要:社労士試験の合格率は9.3%に大幅アップ
| 項目 | 第58回(令和8年度) | 前年(第57回) |
|---|---|---|
| 受験申込者数 | 52,842人 | 53,618人 |
| 受験者数 | 42,510人 | 43,421人 |
| 受験率 | 80.4% | 81.0% |
| 合格者数 | 3,961人 | 2,376人 |
| 合格率 | 9.3% | 5.5% |
受験者は前年より2.1%減ったのに、合格者は約1,600人も増えました。平成29年〜令和7年の9年間は2,100人台〜2,900人台で推移していたので、今回の3,961人はかなり多い数字です。
2. 合格基準点と救済:選択式25点・択一式47点
| 区分 | 令和8年度 | 令和7年度(前年) |
|---|---|---|
| 選択式 総得点 | 25点以上(平均23.5点、前年比+3.2点) | 22点以上(平均20.3点) |
| 選択式 各科目 | 3点以上(雇用保険法のみ2点以上) | 3点以上(労災・労一・社一は2点以上) |
| 択一式 総得点 | 47点以上(平均33.6点、前年比+5.2点) | 42点以上(平均28.4点) |
| 択一式 各科目 | 全科目4点以上 | 4点以上(雇用保険法のみ3点以上) |
各科目の基準点を含めた正式な内容は、第58回(令和8年度)社会保険労務士試験の合格基準について|厚生労働省(PDF)で確認できます。
救済とは、科目ごとの最低点(いわゆる足切りライン)を引き下げる措置のことです。今年は選択式の雇用保険法だけが2点に引き下げられ、択一式の救済はありませんでした。
総得点の基準点は、基本的に前年の平均点との差で上下します。選択式は平均点が3.2点上がって基準点が22点→25点に、択一式は5.2点上がって42点→47点になりました。
では、救済はどう決まるのでしょうか。社会保険労務士試験の合格基準の考え方について|厚生労働省(PDF)では、選択式で3点以上の人が5割に満たない科目は引き下げの対象になります。ただし、引き下げ後の基準点以上の人が7割以上いる場合は、原則として引き下げません。今年の得点状況から計算すると、こうなります。
| 科目 | 平均点 | 3点以上の割合 | 2点以上の割合 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 雇用保険法 | 2.1点 | 34.1% | 66.2% | 2点に引き下げ |
| 社会保険に関する一般常識 | 2.4点 | 45.6% | 72.2% | 引き下げなし |
※割合は第58回社会保険労務士試験科目得点状況表|厚生労働省(PDF)の累計から計算しています。
社会保険に関する一般常識は、3点以上が5割を切りましたが、2点以上が7割を超えたため救済なし。社会保険の制度は、国保逃れで11,610人が資格取り消しになった件のように、実務でもニュースになる分野です。
一方の雇用保険法は、2点以上が7割に届かず救済となりました。雇用保険は実務でも改正が多く、令和8年度の雇用保険料率はいつの給与・賞与から変更するのかといった細かな点で迷う方が多い分野です。ほんの少しの差で、科目ごとの明暗が分かれました。
💡 社労士の解説&実務アドバイス
受験生のみなさんへ。択一式は救済ゼロで、全科目4点以上が必要でした。総得点が足りていても、1科目で足切りになる。それが社労士試験の怖さです。基準点は前年との相対で決まるので、毎年「ここまで取れば確実」という絶対ラインはありません。来年に向けては、全科目をバランスよく底上げしておきましょう。
3. 平均点で読む:合格率が上がった背景
選択式の科目別平均点は、科目得点状況表|厚生労働省(PDF)によると、次のとおりです。
| 科目 | 今年の平均点 | 前年の平均点 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 労働基準法・安衛法 | 3.6点 | 2.8点 | +0.8 |
| 労災保険法 | 3.0点 | 2.1点 | +0.9 |
| 雇用保険法 | 2.1点 | 3.0点 | -0.9 |
| 労働一般常識 | 2.8点 | 2.0点 | +0.8 |
| 社会保険一般常識 | 2.4点 | 1.9点 | +0.5 |
| 健康保険法 | 3.2点 | 3.2点 | ±0 |
| 厚生年金保険法 | 3.3点 | 2.7点 | +0.6 |
| 国民年金法 | 3.2点 | 2.7点 | +0.5 |
選択式の平均は23.5点(前年+3.2点)、択一式は33.6点(前年+5.2点)。選択式は雇用保険法だけが前年より下がり、ほかの科目は同じか上昇しています。択一式も、労災保険法(-0.1点)を除く6科目で平均点が上がりました。受験生全体の得点が上がったことが、合格率9.3%につながったとみられます。
雇用保険法の平均点が下がった一方で、雇用保険は失業保険を「会社都合」にして給付日数を増やす条件のように、一般の方にも身近なテーマです。試験で苦戦した方も、実務ではその知識が必ず役に立ちます。
受験生の声(ブログ・noteなどより)
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- 試験直後は、X(旧Twitter)などで、選択式の労働基準法で判例問題に時間を取られた、憲法や民法の知識を問う出題に戸惑った、という声が目立ちました。
- 択一式は問題冊子が約67ページあり、時間との戦いだったという講評もありました。
- 発表前は、基準点の引き下げを願う投稿や問題への疑問がSNSに並び、この時期が苦手だと綴る受験生のnote(外部リンク)もありました。
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- 発表後は、受験生のブログ(外部リンク)で、ここ数年と比べて高い合格率への驚きや、雇用保険法の救済についての感想が書かれていました。
4. 合格者の顔ぶれ:30〜40代と会社員が中心
| 区分 | 内訳 |
|---|---|
| 年齢 | 20歳代以下11.3%、30歳代31.4%、40歳代28.2%、50歳代21.2%、60歳代以上7.9%(最年少20歳、最高齢77歳) |
| 職業 | 会社員61.9%、無職11.1%、公務員8.0%、団体職員4.5%、自営業3.8%、役員3.2%、学生0.9%、その他6.6% |
| 男女 | 男性58.7%、女性41.3% |
出典:第58回社会保険労務士試験合格者の年齢別・職業別・男女別構成|厚生労働省(PDF)
30〜40代で約6割、会社員が約6割。仕事をしながら合格をつかんだ方が多いのが分かります。最高齢の77歳という数字も、励みになりますね。
5. 合格後・不合格だった方の「次の一歩」
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 10月14日(水) | 合格証書が簡易書留で発送。受験者への成績(結果)通知書も同日に普通郵便で発送(途中棄権者・不正者を除く) |
| 10月下旬 | 官報に合格者の受験番号が公告される |
| 合格後 | 社労士として登録するには、労働社会保険諸法令の事務に2年以上従事するか、厚生労働大臣が指定した講習を修了して、全国社会保険労務士会連合会(外部リンク)の名簿に登録する |
発表日程の詳細は、試験センターの第58回社会保険労務士試験 合格発表について|社会保険労務士試験オフィシャルサイトで案内されています。成績通知書が10月23日までに届かない場合は、11月4日までに試験センターへ連絡が必要です。
💡 社労士の解説&実務アドバイス
社労士として登録している方は、約4万7千人(令和8年8月31日現在)です。実は、試験に合格しただけでは「社労士」を名乗れません。名簿に登録して初めて名乗れます。お仕事を依頼する側の方は、登録済みの社労士かどうかも確認してみてください。当事務所の考え方や対応内容は、いのうえ社会保険労務士事務所の事務所紹介にまとめています。
合格後の実務では、2026年10月施行の同一労働同一賃金の大改正のような、法改正への対応が待っています。惜しくも届かなかった方は、成績通知書で科目ごとの得点を確認して、弱点を数字でつかんでおくと来年に活きます。
まとめ・社労士からのアドバイス
第58回社労士試験は、合格者3,961人、合格率9.3%。基準点は選択式25点・択一式47点で、救済は選択式の雇用保険法のみでした。平均点が大きく上がった年でしたが、基準点は毎年の得点状況で動くので、全科目バランスよく備えることは変わりません。
合格された方は、まずは登録に向けた準備を。届かなかった方も、今年の得点は必ず来年の力になります。
労務や社会保険のことで気になることがあれば、公式LINEやお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
