育児休業中は保険料免除なのに、産前産後窮境期間中は保険料免除されないの?
おはようございます。大阪市東淀川区の社労士、井上です。
働く女性が妊娠・出産を迎えるとき、気になるのがお休み中のお金のことですよね。「育児休業(育休)中は社会保険料が免除されるって聞いたことあるけど、出産前後の産休中はどうなるの?」と疑問に思う従業員の方や、手続きに悩む人事担当者様も多いはず。
実はお給料から天引きされている高額な社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)、産休中もバッチリ「免除(無料)」になるんです!
今回は、産前産後休業期間中の社会保険料免除の仕組みから、会社が行うべき具体的な手続き、そして育休とは少し違う「対象者のルール」まで、プロの社労士の視点で表を使って分かりやすく徹底解説いたします。
この記事で分かること
1. 産休中の保険料は免除される?(平成26年からの嬉しいルール)
育児休業中の社会保険料免除はよく知られていますが、実は昔は「産休中(産前産後休業中)」は免除されていませんでした。女性の場合、産休が終わらないと育休を取得できないため、「これでは育児をする労働者の支援に欠ける!」ということで法律が改正されました。
平成26年(2014年)4月からは、産前産後休業期間中の社会保険料も「被保険者負担分(本人の給与天引き分)」だけでなく、「事業主負担分(会社の負担分)」もダブルで全額免除されることになりました!
本人にとっても手取りの減少を防げる嬉しい制度ですし、会社にとっても法定福利費が削減されるため、絶対に忘れずに手続きしたい制度です。
2. 「産休の期間」と「免除される期間」のズレに注意!
次に、いつからいつまで免除されるのか、具体的な期間を確認しましょう。「産休の期間」と「保険料が免除される月」の数え方は少しルールが違います。
産前産後休業の期間とは?
妊娠85日(4カ月)以後の出産で、以下の期間のうち、妊娠または出産のために「労務に服さなかった(働かなかった)期間」を指します。
- 産前: 出産予定日以前の42日間(多胎妊娠=双子などの場合は98日間)
- 産後: 出産日の翌日から56日間
※実際の出産が予定日より遅れた場合は、その「遅れた日数分」も産前の期間にプラスして計算されます。
免除される「月」のカウント方法
社会保険料は日割り計算がありません。そのため、以下のような「月単位」のルールで免除期間が決まります。
| 免除の開始月 | 免除の終了月 |
|---|---|
| 産前産後休業を 「開始した日」が属する月 |
産前産後休業が「終了した日の翌日」が属する月の前月まで |
「休業を開始した月」から、「休業が終わる予定日の翌日が属する月の前月」までが免除になります。
もし休業終了日が「月末ギリギリ(例:10月31日)」の場合は、翌日が11月1日になるので、前月である「10月分まで」きっちり免除されますよ!
3. 育休とは違う!免除「対象者」の注意点(事業主もOK)
ここは実務担当者がよく間違えるポイントです!「育児休業」と「産前産後休業」では、免除を受けられる対象者が異なります。
| 休業の種類 | 会社役員・事業主等の対象可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 育児休業 | × 対象外(免除されない) | 育休は「労働者のための休業」という位置づけのため、労働者ではない事業主や役員は、仮に育児のために休んでも免除されません。 |
| 産前産後休業 | ○ 対象(免除される) | 産休は「母体保護の趣旨」によるものなので、事業主や役員であっても、健康保険・厚生年金の被保険者であれば免除の対象になります! |
女性社長や女性役員がご出産される場合、「うちは役員だから免除はないよね」と諦めずに、産休期間の手続きはしっかり行いましょう!
4. 会社が行う「手続き」と、出産日がズレた時の対応
免除を受けるためには、会社から年金事務所へ書類を提出する必要があります。
- 提出書類: 産前産後休業取得者申出書
- 提出先: 管轄の年金事務所(または事務センター)
- 提出時期: 原則として、産前産後休業期間中
参考リンク:産前産後休業期間中の保険料免除|日本年金機構
出産予定日と「実際の出産日」がズレたらどうする?
赤ちゃんは予定日通りに生まれてくるとは限りませんよね。出産前に「予定日」で申出書を提出していた場合、実際の出産日によって追加の手続きが必要になります。
| 予定日より「前」または「後」に 出産した場合 |
産休の終了日(免除期間)が変わるため、改めて「産前産後休業取得者変更(終了)届」を提出する必要があります。 |
|---|---|
| 予定日「ぴったり」に 出産した場合 |
期間に変更がないため、変更届の提出は不要です。 |
5. 復帰後の特例:給与が下がったら「標準報酬月額の改定」を!
無事に産休が終わり、職場復帰を果たしたものの、時短勤務などで休業前よりもお給料(報酬)が下がってしまうケースはよくあります。この場合、通常の月額変更(随時改定)の条件に当てはまらなくても、特例で社会保険料を下げることができます。
産休終了日の翌日が属する月以後「3カ月間」に受けた報酬の平均額をもとに、標準報酬月額を改定(引き下げ)することができます。
※ただし、産休終了日の翌日から「引き続き育児休業を取得する場合」はこの改定は行えません。(育休に突入する場合は、育休終了時に別の改定手続きがあります)
支払基礎日数の取扱い(カウントのルール)
この改定を行うための「3ヶ月の平均」を計算する際、以下の日数を満たしている月だけで計算します。
- 一般の労働者: 支払基礎日数が17日以上の月
- 特定適用事業所に勤務する短時間労働者: 支払基礎日数が11日以上の月
- パートタイマー(4分の3以上の短時間就労者): 原則17日以上。ただし、3ヶ月とも17日未満の場合は15日以上17日未満の月の平均額で算定します。
まとめ
産前産後休業中の社会保険料免除について解説しました!
- 産休中も、育休中と同じように本人・会社ともに社会保険料が全額免除されます。
- 育休と違い、産休は母体保護の観点から事業主や役員でも免除の対象になります。
- 出産予定日がズレた場合は、必ず変更届を出しましょう。
- 産休明けにそのまま復職し、給与が下がった場合は「産休終了時の特例改定」で保険料を下げられます。
社会保険の手続きは、タイミングや条件が細かく、担当者様がパニックになりがちな業務の一つです。「従業員が産休に入るけど、いつどんな書類を出せばいいのか不安だ」「役員の産休手続きはどうするの?」とお悩みの事業主様や人事担当者様は、ぜひ当事務所にご相談ください。
専門家として、正確かつ迅速な手続きを全力でサポートいたします!
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