令和8年度大阪府社会保険労務士会の年金相談員井上です。今回は年金のプロである私が、障害年金の実務で最も壁になりやすい「初診日の証明」について、当時の病院にカルテが残っていなかった場合のリアルな対処法を徹底解説します。

障害年金の第一関門!初診日が証明できないとどうなる?


病気やケガで働けなくなった際の強い味方となる障害年金ですが、申請にあたって最も重要になるのが「初診日(その症状で初めて医師の診察を受けた日)」の特定です。

初診日が確定してはじめて、保険料の納付要件を満たしているか、いつから年金を受け取れるのか(障害認定日)を計算することができます。そのため、初診日が客観的に証明・特定できないと、どんなに症状が重くても障害年金そのものを受け取れない可能性があります。

原則として、最初にかかった医療機関に「受診状況等証明書」を作成してもらう必要がありますが、ここで多くの方が「カルテがない」という壁にぶつかります。

病院にカルテがない!「受診状況等証明書」が取れない時の対処法


医療機関におけるカルテの法定保存期間は原則「5年」です。そのため、初めて病院にかかったのが10年以上前などの場合、すでにカルテが廃棄されていたり、病院自体が廃業していたりすることは実務上珍しくありません。

しかし、最初の病院にカルテがないからといって申請を諦める必要はありません。次にかかった転院先の記録や、紹介状の控えを活用することで初診日を証明できるルートがあるからです。

例えば、最初に受診した「済生会吹田病院」に当時のカルテが残っていなかったとしても、その後に転院して現在療養中である「淀川キリスト教病院」に当時の紹介状のコピーが残っていれば、それが初診を裏付ける強力な証拠になります。

このような場合、転院先の医療機関に「受診状況等証明書」を依頼し、最初の病院については「受診状況等証明書が添付できない申立書」をセットで提出するのが実務の基本テクニックです。

分かりやすく、状況別の対応方法を表にまとめました。

当時の状況 必要な対応・取得する書類
最初の病院にカルテが残っている 最初の病院で「受診状況等証明書」を作成してもらう
最初の病院にカルテがない
(2番目の転院先がある場合)
①最初の病院の「受診状況等証明書が添付できない申立書」
②2番目の病院の「受診状況等証明書(紹介状等のコピー添付)」
どこにもカルテの記録が残っていない 当時の診察券、お薬手帳、レセプト開示請求など「客観的資料」をかき集める

最終手段!第三者証明と客観的資料の組み合わせ


複数の病院を当たっても、どうしてもカルテや紹介状の記録が出てこない場合の最終手段として「第三者証明」という制度があります。

これは、初診日当時のあなたを知っている第三者(民生委員、当時の事業主や上司、隣人など。※三親等内の親族は不可)に、当時の通院状況や症状の経過を申立書として書いてもらう方法です。

ただし、初診日が20歳以降の場合は、この第三者証明「だけ」では認められません。当時の診察券、領収書、お薬手帳、健康診断の記録などの「客観的資料」と組み合わせて提出し、総合的に判断してもらう必要があります。

参考リンク:障害年金の初診日証明書類のご案内

初診日の特定は、パズルを組み立てるような地道な作業ですが、専門家の知恵と経験を借りることで道が開けるケースは非常に多いです。決してご自身だけで抱え込まず、プロにご相談ください。

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