2026年(令和8年)4月1日には、健康保険被扶養者認定の見直し、女性活躍推進法101人以上へ拡大、子ども・子育て支援金をはじめとした、企業の人事・労務管理の実務に影響がある多くの法令等の改正が施行・適用されます。

今回は法改正大好きな社労士が経営者の方や、社労士受験生の皆さん向けに簡単でわかりやすく解説していきます。

健康保険法の被扶養者認定の取り扱い見直し


令和8年(2026年)4月からは、社会保険の扶養に入るための判定基準(いわゆる130万円の壁)について、運用ルールが大きく変わります。

「年収の壁」による働き控えを解消へ

これまでは、「残業をしたら扶養から外れてしまうのでは?」という不安から、年末に向けてシフトを調整する「働き控え」が深刻な人手不足の原因となっていました。

今回の改正では、この曖昧さをなくすために判断基準が明確化されます。

  • 【現行】 直近の収入から推測する「見込み年収」で判断(残業代なども含むため不安定)
  • 【改正後】 原則として「労働契約等で定められた賃金」に基づいて判断

つまり、一時的な残業で収入が増えても、契約上の賃金が変わらなければ扶養にとどまれるようになります。経営者の方は、従業員の「契約内容」と「実態」が合っているか、今のうちに再確認しておきましょう。

詳しくまとめた記事はこちらになります。
【令和8年4月改正】「年収の壁」対策の決定打となるか?一時的な残業代が「扶養の判定」から除外へ!

高年齢労働者の労働災害防止の努力義務


令和8年(2026年)4月1日より、企業に対して「高年齢労働者の労働災害防止対策」を行うことが、労働安全衛生法上の努力義務として課せられるようになります。

「エイジフレンドリー」が法律上の位置づけへ

これまでも「エイジフレンドリーガイドライン」などを通じて対策が推奨されてきましたが、今回の改正で初めて法律上の「努力義務」として明記されました。

これに伴い、従来のガイドラインは「高年齢者の労働災害防止のための指針」へと名称が変わります。

  • 【基本理念】 一人の被災者も出さない「ゼロ災」を目指す。
  • 【企業の対応】 具体的な対策内容は、各会社の実情に応じて検討する必要があります。

統計的にも高年齢労働者の労災発生率は高いため、単なる掛け声だけでなく、実際にどう事故を防ぐかというコンサルティング視点が、今後の現場や社労士業務においても重要になってくるでしょう。

参考リンク:高年齢者の労働災害防止のための指針

治療と仕事の両立支援対策の努力義務化


令和8年(2026年)4月1日より、従業員が病気の治療を続けながら働けるようサポートする「治療と仕事の両立支援」についても、事業主の努力義務として新設されます。

「通院しながら働く」が当たり前の時代へ

医療技術の進歩や働く人の高齢化に伴い、がんや糖尿病などの持病と付き合いながら働く人は年々増えています。

これまではガイドライン(指針)ベースでの運用でしたが、今回の改正で法律上の位置づけが強化されます。

  • 【改正内容】 治療と仕事の両立支援対策が企業の「努力義務」になる。
  • 【具体的な対応】 一律のルールではなく、「会社の実情に応じて」柔軟に検討することが求められます。

この施策は、一つ前の項目で紹介した「高年齢労働者の労災防止」とも非常に相性が良いものです。別々に考えるのではなく、健康管理の一環としてセットで対策を進めていくのが、会社にとっても効率的でおすすめです。

参考リンク:治療と就業の両立支援指針

子ども・子育て支援金の徴収・納付


令和8年(2026年)4月1日より、児童手当の拡充などの少子化対策財源として、新たに「子ども・子育て支援金」の拠出が始まります。

医療保険とセットで徴収されます

これは新しい税金として個別に請求が来るわけではなく、医療保険制度を通じて徴収される仕組みです。

協会けんぽ、健康保険組合、国民健康保険、後期高齢者医療制度など、すべての公的医療保険の加入者が広く対象となります。

負担額はいくらになる?

具体的な金額は収入によって異なりますが、政府の試算では以下のようになっています。

  • 月収20万円の方:月額 約240円程度
  • 月収50万円の方:月額 約600円程度

社会保険料全体から見ればわずかな金額ですが、給与計算においては新しい控除項目が増える(または保険料率が変わる)ことになります。

実務担当者や社労士にとっては、徴収漏れや設定ミスが起きやすいポイントですので、システムの設定変更などを忘れないよう注意が必要です。

詳しくまとめた記事はこちらになります。
【2026年4月開始】噂の『独身税』とは?給与の手取りはいくら減るのか社労士が試算してみた

女性の職業生活における活躍に関する情報公表の適用拡大等


令和8年(2026年)4月1日より、常時使用する労働者が101人以上の企業において、女性活躍推進法に基づく情報公表の義務が強化されます。

101人以上の企業は要チェック!

これまでは大企業(301人以上)だけの義務だった項目などが、中小企業(101人〜300人)にも適用拡大されます。

  • 男女の賃金の差異:
    これまで301人以上のみ義務でしたが、101人以上300人以下の企業でも公表が義務化されます。
  • 管理職に占める女性労働者の割合:
    これまで選択項目の一つでしたが、101人以上の全対象企業で公表が必須になります。

いつ公表すればいいの?

ルールの適用は令和8年4月1日からですが、実際にウェブサイト等で公表するタイミングには注意が必要です。

公表の期限は「事業年度の開始後、概ね3ヶ月以内に前年度の実績を公表」するルールになっています。

つまり、4月1日に一斉に公表するわけではなく、自社の決算月から3ヶ月以内に対応すれば問題ありません。焦らず、自社のスケジュールを確認しておきましょう。

参考リンク:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の改正について

えるぼし認定の基準変更等


女性活躍推進法に基づく優良企業認定「えるぼし認定」についても、令和8年(2026年)4月1日より制度の一部が見直されます。

「えるぼしプラス」の新設と基準緩和

今回の改正では、企業の取り組みをより評価しやすくするために、新たな認定枠組みがスタートします。

  • えるぼしプラスの創設:
    既存の認定にプラスして、職場の女性の健康支援に積極的に取り組む企業を評価する仕組みができます。
  • 1段階目の基準見直し:
    「取りたいけど基準が厳しすぎる」という声に応え、認定のハードルが少し見直される予定です。これにより認定を受けられる会社が増えることが期待されます。

えるぼし認定を取得すると、公共事業の入札で加点されるなどのメリットがあります。「ウチには無理」と諦めていた企業様も、この改正を機に再検討してみるのがおすすめです。

なお、最上位の「プラチナえるぼし」の認定要件変更(就活等セクハラ対策の盛り込み)については、施行日が異なります。

こちらは令和8年(2026年)10月1日からの適用となりますので、スケジュールにご注意ください。

参考リンク:女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)

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