おはようございます。大阪市東淀川区の社労士、井上です。

最近、ニュースで話題になっている「維新議員の国保逃れ疑惑」をご存知でしょうか?

「一般社団法人の理事になって、社会保険料を劇的に安くする」という手法ですが、これは一部の議員だけの話ではなく、実は私たち一般の個人事業主やフリーランスの間でも「社保削減スキーム」として広まっている手法でもあります。

今回は、話題のニュースを解説しつつ、実際にどれくらい保険料が安くなるのか、その驚愕の数字潜んでいるリスクを徹底検証します。

参考ニュース:維新議員の“国保逃れ”疑惑 全議員対象の調査へ(読売テレビ)

国保逃れ(社保削減スキーム)とはどんな手口なのか?


通常、個人事業主は所得(儲け)に対して「国民健康保険料」がかかります。所得が高ければ高いほど、保険料は上限付近(年間約100万円!)まで跳ね上がります。

しかし、このスキームを使うと、以下のような裏ワザで保険料を圧縮します。

  1. ある団体(一般社団法人など)の「非常勤役員」や「社員」になる。
  2. その団体から「月額6万8,000円」程度の極めて低い給料をもらう。
  3. メインの収入(数百万〜数千万円)は、個人の事業所得としてそのまま稼ぐ。

こうすると、社会保険料は「月額6万8,000円の給料」を基準に計算されるため、本来払うべき高額な国民健康保険料を回避できてしまうのです。

【シミュレーション】年収500万円で比較!天国と地獄の差


では、このスキームを使うと具体的にいくら安くなるのでしょうか?
「年収(所得)500万円、妻・子あり」のケースで比較してみましょう。

パターンA:正直に「国民健康保険」を払った場合

まずは、何も対策せず、個人事業主として真っ当に保険料を払った場合です。
※自治体により多少異なりますが、大阪などを想定した概算です。

項目 年間支払額(概算)
国民健康保険料 約 860,000円
国民年金保険料 約 204,000円
合計負担額 約 1,064,000円

年収500万円に対して、約100万円以上が消えていきます。これは確かに痛いです。

パターンB:スキームを使って「社会保険」に入った場合

次に、法人の役員として「月給6万8,000円」に設定し、社会保険に加入した場合です。

項目 月額負担 年間負担
健康保険料 3,910円 46,920円
厚生年金保険料 8,052円 96,624円
合計負担額 11,962円 143,544円

なんと、年間の保険料が約14万円まで激減しました。

【結果発表】削減額は驚異の90万円越え!ただし…


2つのパターンを比較すると、その差は歴然です。

比較項目 金額
正直に払った場合 1,064,000円
スキームを使った場合 143,544円
差額(削減額) 約 920,456円 の削減

「年間90万円も浮くなら絶対やるべき!」と思うかもしれません。
しかし、この話には重大な落とし穴があります。

落とし穴1:高額な「会費」や「手数料」が必要

このスキームを提供している団体はボランティアではありません。加入するためには、支払われた給与以上の「会費」「コンサル料」(月額10万円弱)を支払う必要があります。
結果として、削減できた90万円のうちの多くが、その業者への支払いに消えることになり、「リスクを冒した割には手元に残るお金が少ない」というケースが多発しています。

落とし穴2:将来の年金が激減する

厚生年金は「払った保険料」に応じて将来もらえる額が決まります。
月給6万8,000円という最低ランクで加入し続ければ、将来もらえる厚生年金もスズメの涙になります。「目先の保険料」は安くなりますが、「老後の備え」を捨てているのと同じです。

落とし穴3:遡って「加入取り消し」になる最大のリスク

これが最も怖いリスクです。
年金事務所の調査で「実態のない雇用契約(ペーパーカンパニー)」と判断された場合、社会保険の加入が遡って取り消される(資格喪失)可能性があります。

もし取り消されると、過去数年分にわたって「本来払うべきだった国民健康保険料」を一括請求されることになります。さらに、支払っていた団体の会費も戻ってきません。
「規制が入る可能性は高い」「刺される(摘発される)危険がある」と警鐘が鳴らされています。

まとめ:甘い話には裏がある。「国保逃れ」は規制秒読みか


今回、維新の議員が問題視されたように、このスキームは「合法かもしれないが、モラルとしてどうなのか?」と社会的に厳しい目で見られ始めています。

政府も「社会保険料逃れ」を防ぐための法改正を検討しており、今後遡って徴収されるリスクもゼロではありません。

目先の数十万円に目がくらんで、政治家としての信用や、将来の年金を失っては元も子もありません。
私たちも「適正な納税と社会保険への加入」を心がけましょう。

コメントや相談したいことがある方はぜひ公式LINEからお気軽にご連絡ください。

参考リンク:厚生年金保険料額表(日本年金機構)