おはようございます。大阪市東淀川区の社労士、井上です。

前回の法改正まとめ記事の中にあった改正女性活躍推進法をピックアップして社労士がわかりやすく解説します。

令和7年6月に成立した「改正女性活躍推進法」について、皆様はすでに対策を進められていますでしょうか?多様な労働者が活躍できる就業環境の整備を目的として、令和8年(2026年)4月1日より多くの改正事項が施行されます。

今回の法改正では、対象となる企業の規模が拡大され、新たに「女性の健康上の特性」への配慮や新認定制度「えるぼしプラス」が創設されるなど、労務管理において見逃せないポイントが多数含まれています。今回は、厚生労働省の資料をもとに、企業が対応すべき実務の要点を分かりやすく解説します。

1. 法の有効期限が10年間延長(令和18年まで)


もともと女性活躍推進法は平成27年に制定された10年間の時限法であり、令和8年3月末で期限を迎える予定でした。

しかし、男女間の賃金差異が国際的に見ても依然として大きいことや、管理職に占める女性割合が低い水準にとどまっている現状を踏まえ、法の期限が令和18年(2036年)3月31日まで、さらに10年間延長されることになりました。企業は引き続き、長期的な視点で女性が継続して活躍できる職場づくりに取り組む必要があります。

2. 【要注意】101人以上の企業に「男女間賃金差異」等の公表が義務化


今回の改正で、実務担当者が最も注意すべきなのが「情報公表の義務化範囲の拡大」です。
令和8年(2026年)4月1日より、常時雇用する労働者が101人以上のすべての企業に対して、「男女間賃金差異」および「女性管理職比率」の情報公表が新たに義務付けられます。

企業規模 改正前(現在)の義務 改正後(令和8年4月~)の義務
301人以上 男女間賃金差異 + 他2項目以上 男女間賃金差異女性管理職比率 + 他2項目以上
101人~300人 任意の1項目以上 男女間賃金差異女性管理職比率 + 他1項目以上

この公表は、改正法施行後の最初の事業年度終了後、おおむね3ヶ月以内に行う必要があります。数字だけを公表するのではなく、要因の分析や改善に向けた追加情報をあわせて発信することが推奨されています。

もし公表の準備を怠ったり、対応が遅れたりした場合、法令違反となるだけでなく、求職者からの信頼低下を招き、企業の採用活動に深刻な悪影響を及ぼす恐れがあります。早急に自社のデータ集計体制を見直してください。

【外部リンク】
厚生労働省|女性の活躍推進企業データベース

3. 新たな基本原則「女性の健康上の特性」への配慮


これまで、女性特有の健康課題(月経や更年期障害など)による不調が、キャリア形成や昇進を断念する要因になっていることが指摘されていました。
そのため、改正法では基本原則に「女性の健康上の特性に配慮して行われるべき」旨が明記されました。

事業主行動計画策定指針にも、以下のような具体的な取組例が示されています。

  • 女性の健康上の特性に関する研修会の開催(ヘルスリテラシーの向上)
  • 生理休暇を取得しやすい環境の整備
  • 不調時の休養や通院のための多様な休暇制度の導入
  • テレワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方を可能とする制度の整備

こうした取り組みを推進することは、単なる法対応にとどまらず、優秀な人材の確保と定着という企業にとって大きなメリットをもたらします。

4. 「えるぼしプラス」認定の創設と基準の見直し


女性活躍の取組が優良な企業を認定する制度にも、令和8年4月から大きな変更が加わります。

①「えるぼしプラス(仮称)」認定の創設
女性の健康支援に積極的に取り組む企業を評価する新たな認定制度です。認定を受けるには、女性の健康特性に配慮した「休暇制度(年次有給休暇を除く)」や「柔軟な働き方(時差出勤、テレワーク等)」の導入、社内研修の実施、相談担当者の配置といった要件をすべて満たす必要があります。

②既存のえるぼし・プラチナえるぼし認定の見直し
「えるぼし認定(1段階目)」では、実績基準を満たさない項目について「2年以上連続しての実績改善」だけでなく、「実績が改善傾向にあること」を評価する選択肢が新たに追加されます。
一方、最上位の「プラチナえるぼし」では、認定基準に「求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止のための措置の公表」が新たに追加され、より厳格な姿勢が求められます。

2026年(令和8年)は、女性活躍推進法だけでなく、在職老齢年金の基準額引き上げや労災防止の努力義務化など、労務関連の大きな法改正が目白押しです。制度の改定や就業規則の見直しに不安がある事業主様は、ぜひお早めに弊所へご相談ください。

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