おはようございます。東淀川区の助成金大好きな社労士の井上です。
本日は私の最も得意な「業務改善助成金」について解説したいと思います。
1. 業務改善助成金の概要
令和7年度の業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者を対象に、職場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、併せて生産性向上につながる設備投資等を行った場合に、その費用の一部を国が助成してくれる制度です 。簡単に言えば、「従業員の賃金アップ+業務効率アップ」をセットで実施する企業に対し、設備や機器導入、研修費用などの経費の75~80%を補助金として支給するものです。
最大600万円まで支給されるため、小規模企業にとっては非常に手厚い支援となります 。制度の目的は、人材の定着や労働環境改善のために中小企業の賃上げと生産性向上の好循環を生み出すことにあります。賃金を上げれば従業員のモチベーションや定着率が向上し、さらに業務改善で生産効率が上がれば賃上げの原資も生まれる――そんな良いサイクルを国が後押ししてくれる制度と言えます。
参考リンク:令和7年度業務改善助成金のご案内
2. 業務改善助成金の対象となる事業者(中小企業)
業務改善助成金を申請できるのは、中小企業・小規模事業者に該当する企業です 。具体的には、中小企業基本法などで定義された規模要件を満たす事業者が対象となります 。業種により資本金額や従業員数の基準が異なります。
| 業種 | 資本金の額または出資総額 | 常時使用する企業全体の労働者数 |
| 卸売業 | 1億円以下の法人 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下の法人 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下の法人 | 50人以下 |
| 上記以外(一般産業) | 3億円以下の法人 | 300人以下 |
ただし大企業は対象外であり、たとえ自社規模が小さくても「みなし大企業」に該当する場合は助成金を受けられません 。「みなし大企業」とは大企業と実質的に一体と見なされる企業のことで、例えば大企業の子会社やグループ企業(大企業が発行株式の1/2超を所有している等)などは中小企業には当たらないと判断されます 。また、医療法人、学校法人、NPO法人、社会福祉法人、宗教法人など営利企業ではない法人形態も中小企業の定義から外れるため、本助成金の対象にはなりません 。基本的には営利を目的とする中小企業(会社または個人事業)であることが条件と考えてください。
いのうえ社会保険労務士事務所(大阪全域・特に東淀川区、守口市は重点地域。)では、中小企業に特化した助成金をきめ細かくサポートをしております。もちろん、助成金申請の際の規程の変更については、社労士がしっかりフォローいたします。

3. 業務改善助成金の対象となる従業員・事業場要件
次に、本助成金を申請するための労働者および事業場に関する要件について説明します。まず申請単位は「事業場」ごとである点が重要です 。事業場とは、工場や店舗、支店など労働者が働くそれぞれの職場単位を指します。会社が複数の店舗や事業所を持っている場合、事業場ごとに別々に申請することが可能です。例えば本社と支店それぞれで賃上げ計画を立てて申請するといったこともできます (後述の通り、同一企業の受給合計額は上限600万円までです )。ただし同じ事業場については年度内1回のみ申請できます 。つまり一つの職場で何度も年内に繰り返し申請することはできません。

各申請事業場において満たすべき要件は以下の通りです。
①事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
解説: 「事業場内最低賃金」とはその職場で働く労働者の中で最も低い時給のことです (パート・アルバイト含む全従業員が対象)。本助成金では、この事業場内最低賃金と地域の法定最低賃金との差が50円以下でなければなりません 。言い換えると、すでに地域最低賃金より十分高い賃金水準であれば助成の必要性が低いと判断され対象外になります 。例えば地域最低賃金が960円の地域で、その事業場内の最低賃金が1,020円(差額60円)である場合は申請できません。一方で最低賃金ギリギリ~+50円程度の範囲の企業であれば対象になり得ます。現在の最低賃金額は都道府県ごとに毎年更新されますので、申請時点の金額で要件を確認します 。
②事業場内最低賃金該当者の雇用期間が6か月以上であること
解説: 賃金を引き上げる対象となる労働者は、雇い入れから6か月以上経過している必要があります。助成金の趣旨が「継続的な従業員の待遇改善」であるため、入社間もない新人をすぐに賃上げするケースは対象外とされています。したがって、事業場内最低賃金となっている労働者が入社5か月の人しかいない場合などは、その人を対象に含めるために6か月経過を待ってから申請する必要があります。また6か月未満の短期アルバイトしか最低賃金層にいない場合も申請時点では要件を満たさないことになります。
③事業場内最低賃金である労働者に対し所定額以上の賃上げを行うこと
解説: 実際に賃上げを行う労働者としてカウントできるのは、「事業場内最低賃金の労働者」および「その賃上げによって新たに最低賃金層となる労働者」です (詳細は後述の支給額計算の項で触れます)。いずれにせよ、該当労働者全員について本助成金の定める引上げ幅以上の賃上げを実施する必要があります 。最低賃金層の労働者を30円引き上げた結果、その人よりわずか高かった別の従業員が「追い抜かれる」形になりますが、その追い抜かれた人にも同等額以上の賃上げを行えば一緒に対象人数に含められる、という考え方です 。基本的には職場の賃金の底上げを図ることが目的なので、「一番低い人だけ上げて他は据え置き」というケースでは、一部しか助成対象人数に数えられない場合があります 。賃金引上げ計画を立てる際には、誰の給与をどこまで上げるかを事前にシミュレーションし、該当者全員が条件を満たす形にしましょう。(一緒に引き上げる場合は、6か月未満の労働者もカウントOK)
以上が労働者・事業場に関する主な要件です。この他にも、申請前後に不適切な行為がないこと(後述)や、当該事業場で労働関係法令違反が是正されていない場合はないこと等、細かな条件があります 。ごく一般的に事業運営をしている企業であれば問題ない内容ですが、念のため申請時点で違法な長時間労働や賃金未払い等が指摘されていないか確認しておくと安心です。
4. 業務改善助成金の支給要件・条件(賃上げ・設備投資)
業務改善助成金の支給要件は大きく2つ、「賃金引上げ」と「設備投資等(業務改善の取組)」です 。これらを両方とも満たす計画を立てることが必要になります。

① 賃金引上げ要件: 対象事業場において、事業場内最低賃金を30円以上引き上げること 。少なくとも30円アップが最低条件ですが、後述するように引上げ幅に応じた「コース」が設定されており、さらに45円以上、60円以上、90円以上といった幅で賃上げすることも可能です (大きな賃上げを行うほど後述の助成上限額も上がります)。賃上げは基本給や定額的な諸手当の引上げによって行います。時間あたりの賃金で比較し、計画時点から所定額アップしている必要があります。なお地域別最低賃金の改定前に自主的賃上げを行う必要がある点に注意してください (最低賃金改定後に慌てて上げても「単に最低賃金遵守のための引上げ」と見なされ対象外になる恐れがあります )。また複数回に分けて少しずつ賃上げすることは不可で、一度の引上げで所定額以上を達成する必要があります。「7月に15円、10月にさらに15円」という分割は認められず、一発で目標額まで引き上げる計画にしましょう。
② 設備投資等要件: 賃上げと併せて、業務効率化・生産性向上につながる設備投資等を行うこと。具体的には、生産設備の導入、作業工程の自動化機器、ITツール(販売・在庫管理ソフトやPOSレジ等)、業務用機械、社員研修の外部委託費、業務改善コンサルタントの費用など、業務の無駄を削減し効率アップに寄与する経費であれば広く対象になります 。製造業なら機械設備やフォークリフト、店舗業ならPOSレジや自動釣銭機、サービス業なら予約管理システム導入やスタッフ研修など、業種に応じた様々な取組みが考えられます。「業務の質や速さを向上させ、その結果人件費上昇分を吸収できるような投資」であることがポイントです。なお設備投資にはリースも含めることが可能なので、高額機械を購入ではなくリース契約で導入する計画でも認められる場合があります。ただし単なる老朽設備の置き換えや、快適性向上のためだけの備品導入(例:エアコン更新や椅子の新調など生産性向上に直結しないもの)は対象外とされています。
(設備投資の対象外となるものについて): 一般的に乗用車やパソコン・スマートフォン等の汎用的な端末機器の購入費用は助成対象経費に含めることができません。例えば営業車や従業員用PCの購入は通常は補助の対象外です。ただし後述する「特例事業者」に該当し、物価高騰等の要件を満たす場合には例外的に車両やパソコン等も対象経費に含めることができます。具体的には「定員7人以上または車両本体価格200万円以下」の乗用車・トラック等であれば、最低賃金要件に加えて物価高騰等要件(後述)も満たす場合に特例的に認められる、といった条件があります。また福祉業界向けの車椅子リフト付き車両など特殊な業務用車両は、生産性向上に資すると判断されれば例外的に認められるケースがあります。いずれにせよ通常はパソコン・スマホ・乗用車は対象外と心得ておき、もし計画に含めたい場合は自社が該当する特例条件の有無を確認する必要があります 。
以上が主要な支給要件です。この他にも「交付決定通知(採択)を受ける前に賃上げや設備購入を行わないこと」が極めて重要な前提条件です 。助成金は必ず申請→採択を経てから実行する流れですので、うっかり申請前に機械を買ってしまった場合など、その費用は助成対象になりません 。計画が認定される前に発生した経費は「既に実施済みの取組み」とみなされ除外されてしまいます 。また、賃上げ後の賃金額については就業規則等の社内規程にも反映させることが求められます 。就業規則の賃金条項を書き換えるか、賃金改定通知書をきちんと交付するなど、形式的にも「賃金を改定しました」という証拠を残す必要があります。これらの条件をすべて満たした上で計画通り実施できれば、後述の通り支給申請を行い助成金を受け取ることができます。
5. 業務改善助成金が不支給となるケース
せっかく申請しても、要件違反や手続ミスがあると助成金が支給されない(不支給)場合があります 。初心者の方がつまずきやすいポイントや、不支給となり得る代表的なケースをまとめます。

①申請前に賃上げ・設備導入を実施してしまった場合
前述のとおり、交付決定前に計画の内容を先行実施するとその部分の経費は助成対象外です 。例えば申請書提出前に機械を発注・購入して支払いまで完了していた場合、その費用は原則助成を受けられません 。必ず交付決定を受けてから実施するようスケジュール管理しましょう。
②賃金引上げを分割実施した場合
賃上げは一度きりで所定額以上行わなければなりません 。計画を2回以上に分けて実施したり、同じ年度内に再度申請することはできません 。分割してしまうと助成金の趣旨に反するとみなされ不支給となる可能性があります 。必ず一回の改定で必要額を上げるようにしてください。
③賃上げ計画が未達成・計画人数に満たない場合
計画していた賃上げ額や対象人数を実行できなかった場合、その部分の助成は受けられません 。例えば「5人の賃上げ予定だったが途中で2人退職して結局3人しか上げられなかった」場合、助成額は「引上げ労働者3人」の区分で再計算され、当初見込みより減額されます 。最悪、誰の賃金も上げられなかった場合は当然助成金は支給されません。設備投資だけして肝心の賃上げがゼロでは対象外なので、計画通り確実に賃上げを実施しましょう 。やむを得ない事情で計画変更や中止をする場合は、速やかに労働局に相談し所定の変更届や辞退の手続きを行う必要があります 。
④事業完了期限に間に合わなかった場合
交付決定時に指定される事業完了期限(令和8年1月31日など期日あり)までに、計画した賃上げと経費支出を完了できなければ不支給となります 。例えば機械の納品が遅れて期限を過ぎてしまった場合、その機器にかかった費用は助成対象にできません。正当な理由がある場合は事前に期限延長の申出をすれば認められるケースもありますが、基本的に期限管理は厳格です 。遅れそうな場合は早めに労働局へ相談しましょう。
⑤助成対象外の経費を計上していた場合
計画に対象外経費(前述の車両や汎用PC購入費、消費税分、人件費そのもの等)を含めていた場合、その部分は助成されません 。最終的な支給額確定時に差し引かれますが、計画段階から除外しておく方が無難です 。例えば通常認められない乗用車購入費を特例事業者でもないのに含めていた場合、その費用は支給されず自己負担が増える結果になります 。対象経費の範囲は公表されている交付要綱等で確認し、グレーなものは事前に労働局へ相談しましょう 。
⑥申請期間を過ぎていた場合
当たり前ですが、公募された申請受付期間を一日でも過ぎると申請できません。特に第2期は地域別最低賃金改定日の前日が締切という変則的な期限なので要注意です 。「気づいたら締切終了していた」ということのないよう、スケジュールはしっかり管理しましょう。年度によっては予算上限に達し募集締切が前倒しされることもあります 。募集期間内でも早期終了の可能性があるため、できるだけ余裕をもって早めに申請することが望ましいです。
⑦申請前後で不適切な労務管理を行った場合
助成金申請の条件として、申請前後を通じて解雇や賃金引下げ等の不交付事由がないことが求められます。もし申請直前に従業員を不当解雇していたり、賃金カットを行っていたことが発覚すれば支給されません 。交付決定後であっても取り消される可能性があります 。また労働関係法令の違反(サービス残業や最低賃金違反など)がある事業場も助成対象外です 。助成金を受けている間は、業績悪化であっても従業員の不利益変更は避ける努力が必要です 。当然ながら虚偽の申請や不正受給は厳禁で、発覚した場合は助成金返還だけでなく今後一切の助成金申請ができなくなったり、悪質なら詐欺罪に問われる可能性もあります。誠実に手続きを進め、嘘の計画や架空経費の計上など決して行わないようにしましょう。
以上、多く感じられるかもしれませんが、要点は「計画を守り、期間を守り、誠実に実行する」ことです。適切に進めれば問題なく受給できますので、ルールを押さえて慎重に取り組みましょう。
いのうえ社会保険労務士事務所(大阪全域・特に東淀川区、守口市は重点地域。)では、受給可能かどうかもメールや公式LINEで無料相談もしております。
6. 業務改善助成金の支給金額・助成率(30万円~最大600万円、75~80%)
業務改善助成金で受け取れる支給額は、「対象経費総額 × 助成率」と「助成上限額」のいずれか低い方と定められています 。助成率とは経費の何割が補助されるかで、助成上限額は支給される金額の上限値です。まず助成率、次に上限額について説明します。
・助成率(補助率): 令和7年度現在、助成率は事業場内最低賃金の額によって2段階に分かれます 。具体的には「事業場内最低賃金が1,000円未満の場合:4/5(80%)」、「1,000円以上の場合:3/4(75%)」となります 。例えば一番低い時給が950円の会社なら助成率80%、1,050円なら75%です 。この区分は2024年度より「1,000円未満/以上」の2区分に簡素化されました (以前は3区分に細分化されていました)。1,000円未満の企業に厚めの補助率を適用することで、最低賃金が低い地域・業界の企業をより支援する狙いがあります。特例事業者に該当する場合でも助成率自体はこの区分内で最大80%ですが、2024年度まであった生産性要件による加算措置(最大90%)は廃止されています。したがって今年度は最高でも4/5(80%)助成となります。

助成上限額: 賃上げ幅と引上げ人数に応じてコース別に上限額が定められています 。2025年度は賃上げ幅ごとに4つのコース(30円・45円・60円・90円)が設定されています 。賃上げ幅が大きいコースほど上限額も高くなり、さらに何人の労働者の賃金を引き上げるかによって細かく上限額が変動します 。また事業場の従業員規模が30人未満の小規模事業者には上限額の特例があり、通常より高い上限額が適用されます 。以下にコース別の上限額の目安をまとめます(左が通常上限額、(※)内が従業員30人未満の場合の上限額) 。
| コース (賃上げ額) |
1人 | 2~3人 | 4~6人 | 7人以上 | 10人以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30円 コース |
30万円 (60万円) |
50万円 (90万円) |
70万円 (100万円) |
100万円 (120万円) |
120万円 (130万円) |
| 45円 コース |
45万円 (80万円) |
70万円 (110万円) |
100万円 (140万円) |
150万円 (160万円) |
180万円 (180万円) |
| 60円 コース |
60万円 (110万円) |
90万円 (160万円) |
150万円 (190万円) |
230万円 (230万円) |
300万円 (300万円) |
| 90円 コース |
90万円 (170万円) |
150万円 (240万円) |
270万円 (290万円) |
450万円 (450万円) |
600万円 (600万円) |
※( )小規模事業者とは一般に従業員数が常時20人以下程度の規模を指しますが、本助成金では事業場従業員数が30人未満であれば上記(※)の特例上限額が適用されます。
ご覧のように、最大支給額は600万円(90円コースで10人以上賃上げ、小規模事業者の場合)となっています。逆に最小は30円コース・1人賃上げの場合の30万円(小規模以外)です 。多くのケースでは「対象経費×助成率」で計算した額とコース上限額を比べて低い方が実際の支給額となります 。例えば、ある会社が「45円コース・賃上げ対象2人」で申請し設備投資100万円を行った場合、助成率が80%なら80万円が補助見込み額ですが、そのコースの上限は通常70万円(小規模なら110万円)なので、実際の支給額は70万円に頭打ちになる、といった具合です 。したがって上限額まで受け取るには相応の投資額と大幅な賃上げが必要ですが、逆に小さな規模の計画でも数十万円単位の助成が受けられる可能性があります。
特例事業者の場合の拡充措置について補足します。特例事業者とは、特に経営環境が厳しい中小企業向けの優遇措置で、
(a) 申請事業場の事業場内最低賃金が低水準(例えば1,000円未満)であり、
かつ/または (b) 物価高騰等の影響で最近の利益率が大きく低下している場合に該当します 。
この条件を満たすと、上記コースの「10人以上」枠への申請が可能になったり、前述のようにPC・車両費など通常対象外の経費が特例的に認められたりします 。例えば通常なら「賃上げ対象10人以上」のケースはあまり想定されませんが、特例事業者であれば最大600万円の助成を受けられる余地が出てきます 。実際には10人以上の大規模賃上げを行うにはそれなりの企業規模が必要なので、特例事業者に該当する場合でなければ選択できないわけです。また車両費・パソコン等の経費特例も、物価高騰等要件(最近3ヶ月のうち1ヶ月の売上総利益率が前年同月比で▲3%以上低下など)を満たす場合に限り適用されます。自社が特例に該当しそうな場合は、申請時に所定の特例事業者用の書類(利益率低下を示す財務資料等)を追加提出することで優遇措置を受けられる可能性があります 。
最後に、同一企業(事業主)あたりの年間支給上限についてです。令和7年度から、一社につき合計600万円までというルールが明確化されました 。仮に複数の事業場で申請しても、会社全体で受給できる総額は600万円が上限となります 。例えば本社と支店で別々に申請し双方で各300万円が認められた場合、合計600万円でちょうど上限内ですが、もし合計が600万円超となる計画は承認されないか超過分が不支給となります。従来は事業場単位で上限管理されていましたが、今年度より事業主単位での上限となった点は変更点として押さえておきましょう 。
⑦業務改善助成金の支給例
ここでは過去の事例について紹介します。ぜひ活用のイメージをつけていただければと思います。
事例1タブレット型の室内環境測定器の導入により報告書作成までの時間と作業負担を軽減
【所在地】福島県 【従業員数】39人 【事業内容】ビルメンテナンス業
【課題と対応】現地にて室内環境を測定した後、会社に戻って報告書作成をする必要があったため、業務効率化を検討した。
【実施概要】会社に戻って測定結果の取り込みや報告書の作成を行ったり顧客の下に再度訪問したりすることなく、測定した現地で結果表示や報告書作成を行い顧客への報告書提出までしたいと考えた。そこで、助成金を活用して、タブレット型の室内環境測定器を導入した。
【実施結果】タブレット型の室内環境測定器の導入により、会社に戻って測定データを取り出したり報告書を作成したりする必要がなくなった。また、測定時の不具合による再測定にもすぐ対応でき、再測定のための時間のロスも無くなった。さらに、機器も小型軽量化したため、搬入・設置等の作業負担が減った。
【成果】室内環境測定の効率化により生産性が向上し、4人の従業員の時間給(事業場内最低賃金)を平均38円引き上げた。さらに、事業場内最低賃金を上回る従業員の賃金の引上げを実施した。
事例2配膳ロボットの導入により料理の運搬業務の効率化
【所在地】埼玉県 【従業員数】11人 【事業内容】飲食業
【課題と対応】アルバイトの急な欠勤があったり、奥行きのある動線を一度に2食(両手)分の配膳しかできなかったりするため、特に繁忙期においてより多くの配膳ができないか検討した。
【実施概要】常時3食以上の配膳や重い料理や食器を運ぶ業務を、従業員の負担を増やすことなく可能にしたいと考えた。そこで、助金を活用して、配膳ロボットを導入した。
【実施結果】配膳ロボットの導入により、5人が必要だった配膳業務が4人でできるようになった。また、その分、顧客に目が行き届くようになり、顧客からより良い評価が得られるようになった。
【成果】配膳業務の効率化により生産性が向上し、9人の従業員の時間給(事業場内最低賃金)を60円引き上げた。
事例3軽貨物自動車・工事用電動工具・工具用バッテリーの自社保有により、リースのための時間が減って作業量が増え建設作業が効率化
【所在地】愛知県 【従業員数】8人 【事業内容】建設業
【課題と対応】業務用車両や工事用工具が必要な際には、リース先へ借りにいかなければならなかった上、リースする工具は、燃料補充や冷却に時間がかかっていた。そのため、それらを自社保有することによる業務効率化を検討した。
【実施概要】業務用車両の借受や返却のための時間を無くし、工事用工具の稼働時間を長くして作業量を増やし、残業時間を減らして基本給を引き上げたいと考えた。そこで、助成金を活用して、軽貨物自動車と工事用電動工具、工具用バッテリー2基を導入した。
【実施結果】軽貨物自動車と工事用電動工具、工具用バッテリーの導入により、リース品の受け渡しや性能向上によりアイドリング時間がなくなって作業時間が最大50%削減し、1日の作業量が倍増した。また、車両の走行距離が削減され、移動時間と燃料代が削減された。
【成果】建設作業の効率化により生産性が向上し、1人の従業員の時間給(事業場内最低賃金)を107円引き上げた。さらに、事業場内最低賃金を上回る従業員の賃金の引上げを実施した。
参考リンク:生産性向上のヒント集
まとめ
業務改善助成金を申請するには、就業規則などの改定が必要です。自分で作成・変更することもできますが、法令に沿った内容で長く使える規則にしたい場合は、この機会に社労士へ相談することをおすすめします。当事務所では、就業規則の作成もしておりますので、ぜひ就業規則のページもご覧ください。また助成金の相談についても24時間承っておりますのでお問い合わせページ、もしくは公式LINEになんでもお気軽にご相談ください。

